朝の記憶



小さく震える携帯のバイブ音で、意識がぬうっと世界へ引き寄せられた。
まだうっすら暗い窓の外は6時頃だろうか。枕に顔を押し付けて、左右に振る。
今日は休日。予定はなし。
だから別に起きなくてもいい。まだ寝るか。
今のバイブの感覚からしておそらくメールが来たのだろう。
メールならば、後で返してもいい。
普段からメール不精で通っている自分なら、友人は気にしないだろうから。

そう思っているのに、右手は便利な折りたたみ式のそれを開いた。
見ると案の定メールのマークがついている。
眩しい画面を見る。中身は友人からの昨夜からの話の続きだった。
これならあとで返しても大丈夫だ

何もこんな朝早くに送ってこなくても、
と携帯の向こう側にいる友人を思いながらカバーを閉じる。

もう少し寝ようかな。ちょっと肌寒い朝の空気に、肌かけを全身に引っ張る。
しかし今のメールで脳が少し起きたらしい。
寝るに寝れそうにない予感があった。でも体はすぐに動かない。

ベッドの上で
寝返りを打つ。枕から頭が少しずれ落ちる。手を上に伸ばしてみる。
どの行動にも意味がない
先ほどより明るくなった部屋。うつ伏せになる。




「だめだなぁ、わたし」
ぽつりと。




声を部屋に落とした。
心で思っていたわけではない。何かを考えていたわけではない。
まだ想いも何もいれていない身体から、零れ出た言葉は、音にすると妙に重かった。

言ったあとから、『だめだなぁわたし』。色々思い当たる節がありすぎる。


今日は休日。予定はなし。

もうひと眠りしたら、朝の記憶についてじっくり検討しよう。
















今日初めての言葉は。
++++++++++++++++++
意外に重いものになってしまいました(笑)
もっと朝のあの静けさを描ければよかったなぁ。
日本語って難しい。

8、31、2005











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